子どもの心を中心に、からだの面にも目を向けるような診療を心がけています。
女性ならではの、お母さんの目線に近づけるようなお話しができればよいな…と思っています。
日々の診療で思うこと、日常生活の中で感じることなどをつづっています。
最近は、どちらかというと、
普段会えない友人達へのメッセージがわりとなっているようにも思います。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- / - / -
【書籍紹介】発達障害のある子の困り感に寄り添う支援
発達障害のある子の困り感に寄り添う支援
発達障害のある子の困り感に寄り添う支援
佐藤 暁

発達障害(広汎性発達障害・アスペルガー症候群・ADHD・学習障害など)の子供さんと関わる学校や幼稚園・保育園の先生にお勧めの本です。
特別支援教育が本格的に開始されました。
就学時健診の段階から、混乱は予想されていましたが、
4月以降、親達から聞く現場は、やはり混乱しているようです。
それは教育の現場の余裕のなさからくこと、そして診断がついていようと、
子供によって問題となる行動のきっかけ、親の対応など様々なことが大きな原因です。

この本は、そういう混乱のさなかにある、普通学級や特別支援学級の先生方には、
よく理解しやすい内容である、と思います。
というのも、障害児教育の専門家である筆者が、小学校や幼稚園などを訪れて現場の実情を見聞きしたことを元に、たくさんのケースに対する対応を具体的に書いてあるため、
現場で働く先生方にとっては、ヒントとなることがたくさんありそうです。

通常学級のトラベル別の対応、個別支援を学習と、生活を支えるというふたつの面からの対応、学級崩壊からの立て直し方、保護者とのつきあい方(診断を受けていても、受けていなくても)など、たぶん日常先生方が困っていることのヒントがつまっています。

著者の視点は、「子どもたちの困り感」です。
発達障害の子どもたちは、人の気持ちが読めないと言われますが、実は自分の気持ちや困っていることに、気がつく力が弱いのです。そのため、外へアピールする正しい方法を知りません。そのため、間違った不安の表し方として、問題となる行動を起こしてしまっています。その意味を考え、問題行動を捉えていくと、「子どもたちの困り感」がわかってきます。そういうことによって、先生方の対策が意味をなしてきます。
今までとは違った視点を持てるかどうか、そのヒントを得るきっかけには最適の本だと思います。
ブックレビュー / comments(0) / -
【書籍紹介】子を愛せない母 母を拒否する子
久しぶりの書籍紹介です。

子育てはどんどん難しくなっているような気がします。
それは、情報量が多すぎることが、一番大きな原因だと思っています。
そして、大人が自分の感情を上手く処理できずに成長し、
人と上手く関わっている、という自信が持てずに社会で生活していることが、
その根底にあるのだと思います。
人の中に住み着いた不安感を払拭させるために、
世の中にあふれている情報を取り込もうとして、更に混乱している。
そんな世の中での子育てですから、子どもの表情や言動を上手く受け取れない親が
増えてしまっていてもしょうがないのでは、と思います。

今回紹介する本「子を愛せない母 母を拒否する子」。
反応性愛着障害という子どもたちが増えています。
一番わかりやすいケースをあげると、5歳までに虐待を受けて育った子どもたち、です。
ところが、この本の中で出てくるケースは、はっきりとした虐待ではなく、
小児科医としてなら、とてもたくさん出会ったことがあるような、
いわゆる育児不安と捉えるケースがつまっていました。

アメリカで活躍された後、日本でも活躍をされてこられたソーシャルワーカの方が
書かれていますので、アメリカでのケースと、日本でもケース、
そして子ども虐待が既に問題視され、州によって様々な取り組みを開始されている
アメリカでの対応などが書かれています。

発達障害にしろ、子ども虐待にしろ、子どもたちが症状を起こしてから、
治療を行うより、いかに育児不安の母親を早期に発見して、
対応を一緒に考える、という対応をしていくことが、結局は経済的にも
有効な方法ではないか、と思うのです。
ところが、今の日本では、子育て支援といえば、医療費の無料化とか、
金銭面での支援策ばかりが前面に立ち、人支援からの視点が少なすぎます。
確かに、一番お金がかかるのかもしれませんが、その有効性を考えると、
優先順位は自ずと見えてくるような気がします。

こういう本を紹介することで、何かのきっかけになれば、と思い、
ブログにアップしてみました。
ブックレビュー / comments(2) / -
お薦め本 発達障害を持つ親の立場から
発達障害だって大丈夫―自閉症の子を育てる幸せ
発達障害だって大丈夫―自閉症の子を育てる幸せ
堀田 あけみ

久しぶりの本の紹介です。
中日新聞で紹介された記事を読み、即購入し読みました。
なぜか、作者が堀田あけみさんだったから。

私が中学生の頃、高校生で作家デビューした彼女のことを今でもよく覚えています。
「アイコ16歳」は、その後映画にもなったんじゃないかな?
同じ名古屋市出身と言うこともあり、本もしっかり読みました。

そんな彼女が、その後どんな人生を歩んでいたのかは知らなかったのですが、
3人の子どもの母親となり、真ん中の子どもさんが、中等度の知的障害を持つ自閉症という診断をされていて、その子を含めた子育てのことを、
心理学を専攻していた立場ということもふまえた上で、
母親として、周囲の方々(夫、両親、周囲の母親達)との関わり、
節目節目での自分なりの対応をして感じたことなどを、
語りかける言葉で、30代の母親としての本音も交えながら、
かといって深刻にも、楽観的にもなりすぎずに、向き合っている様子が伝わってきます。
作家として、文章を書いてきた方だけに、情景が目に浮かぶようです。

障害を持つというか、いわゆる「育てにくい子」とどんな風に関わっていくのか、
そして、それは苦労だけではなく、何かを親の側にも得るための、または気づかせるためのものなんではないか、ということがメッセージとして含まれているように思いました。

私個人のことでいえば、病気をしてからずっと思っていたこと。
「この病気になったことで、目に見えない何かは私に何を伝えようとしたのか」という思いをずっと抱えています。
ちょっとずつ、それが何かがわかって気がします。具体的には言えないけれど。

堀田さんのお子さんは、まだ小学校の低学年で、まだまだこれからいろんなことが起こりえるのでしょうが、今の段階で、同じような障害を持った親へのメッセージとしては、
十分すぎるくらいの言葉で書きつづられています。
子どもを育てるときに、情報過多の社会で見過ごされてしまう大切なことを、
忘れずに育てておられると感じた本です。

子どもが何の診断を受けていなくても、なんとなく「育てにくい」と感じているお母さんにも、ぜひ読んで欲しいと思います。
焦ることなく、子どもと関わる幸せを実感してよいんじゃないかな、と思えたら、
私はとても嬉しいです。
ブックレビュー / comments(0) / -
ありのままを受け入れる
抱きしめよう、わが子のぜんぶ―思春期に向けて、いちばん大切なこと
抱きしめよう、わが子のぜんぶ―思春期に向けて、いちばん大切なこと
佐々木 正美

佐々木正美先生の新刊です。
「こどもへのまなざし」以来、久しぶりにしっくりとくる1冊でした。
同時に、0歳からはじまる子育てノート―エリクソンからの贈りものも読みました。
こちらは、幼稚園や保育園の先生への講演会にお話しされた内容をまとめなおしたもの。

佐々木先生の伝えたいことというのは、「こどもへのまなざし」以来変わっていません。親がどういう親であることが子どもの心の成長に必要なのかを、本当に一生懸命話されているのです。
子どもへのまなざしが出版されたのが1998年。私が小児科医として小児科医4年目のころです。
たくさんの親子関係を見てきて感じること。
それは、どんどん「こどもの心」を育てるという環境から離れていっている…ということですね。
「心」とは逆に「知」を育てることばかりは発展しているように感じますが、それだけでは不十分だと思うのですが、そのことに心を痛めておられる専門家の一人が佐々木先生なのかと思います。
佐々木先生というと、「TEACCH」ということを思い浮かべる方も多いのかもしれませんが、もちろん自閉症の方の診療の専門家(明石徹之さんの主治医です)でもありますが、子どもの障害のあるなしにかかわらず、子どもと関わる可能性は大人であれば誰にでもあるのだと思うのですね。
今後の世の中を背負ってたってもらうために、胸を張って生きていける子どもたちのために、私たち大人が出来ること=子どもの心を育てるために必要なこと、誰もが考えていってほしいことです。

そんなことを考えさせる本です。興味を持たれた方、是非一読してみてくださいね。
ブックレビュー / comments(0) / trackbacks(2)
言葉のない子と明日を探したころ
言葉のない子と、明日を探したころ―自閉児と母、思い出を語り合う
言葉のない子と、明日を探したころ―自閉児と母、思い出を語り合う
真行寺 英子, 真行寺 英司

この本の初版は、1982年。今から24年前です。
現在の英司さんの年齢は、私より2歳上ですから、40代。
その当時の自閉症の理解は、現在の発達障害者支援法や特別支援教育が
行われていて注目を集めている時代からすると、
孤独の中での子育てだったのかもしれません。

けれど、母親である英子さんの文章からは、
想像すると英司さんとのやりとりは、とても大変であったと思われるのですが、悠然としながらも英司さんに理解を示す父親と
愛らしい妹さんとのやりとりの中で、大変なだけでないことを感じさせます。
また、英子さんが英司さんのことを理解しようとする気持ちの大きさを感じます。
就学前までは、ほとんどオウム返しぐらいでしかなかった言葉の発達が、
中学2年からぐんぐんと伸びてきて、1歳前後の頃からの記憶があることが
英司さん自身によって語られます。
自閉症児のもつ能力のアンバランスは、こんなところにも感じさせるのですね。
健常発達をしてきている私たちには、決して持てないような能力です。
こう考えると、自閉症児を私たち健常発達の世界に無理矢理押し込めるのではなく、彼らの文化を私たちが理解する努力をする必要って、
やっぱりあるのではないか、と思います。

言葉を出させる努力ではなく、人と人とが関わることの意味を伝えることで、言葉を発するようになるのかもしれません。
まだまだ奥が深いし、理解が進むのには時間がかかるのかもしれません。
けれど、自閉症圏、発達障害の認知が進む中で、
新たな障害の理解が進むためにも、このような本がたくさんの方の目にとまることを期待します。
ブックレビュー / comments(0) / trackbacks(0)